ベートーヴェンは古典派を代表する作曲家であり、音楽の授業でも取り上げられているため多くの人が知っているクラシック作曲家の一人であると思います。
そんなベートーヴェンですが、「代表作」と聞かれて思い浮かぶのはどの曲でしょうか?
数多くの作品を残した有名作曲家ですので、代表作と言われてもどれを代表作として認知しておけばいいのか分からなくなってしまうことがあります。
今回は、そんなベートーヴェンの代表作と呼べる作品をオーケストラに問わず紹介していきたいと思います!
・交響曲第5番「運命」
冒頭の「ジャジャジャジャーン」のモチーフがあまりにも有名な交響曲です。
このモチーフについて、「このように運命が扉を叩く」とベートーヴェンが弟子に語ったことが、この曲が「運命」と呼ばれる由来です。
このモチーフが全楽章を通して、繰り返し登場します。
苦悩に満ちた激しい第1楽章、豊かに旋律を歌う第2楽章、不穏な雰囲気を漂わせる第3楽章を経て、喜びに溢れた第4楽章で締めくくられます。
聴力を失いつつある運命の中でも、創作を続けたベートーヴェンの強い意志が表現された壮大な交響曲です。
・交響曲第9番「合唱付き」
演奏時間が1時間を超える大曲であり、ベートーヴェンが作曲した最後の交響曲です。日本では「第九」とも呼ばれ、年末になると盛んに演奏会で取り上げられ、風物詩となっています。最大の特徴は、第4楽章で4人のソリストと合唱が加わることです。当時の交響曲としては革新的で、その後の多くの作曲家たちへ影響を与えました。第4楽章の有名な「歓喜の歌」は、シラーの詩「歓喜に寄す」から抜粋した詩に作曲されました。ベートーヴェンは、生涯を通してシラーの詩を愛したといいます。
・エリーゼのために
シンプルながら、切なく優しいメロディが世界中で愛されているピアノの小品です。この曲は、ベートーヴェンがかつて愛した女性、テレーゼ・マルファッティのために書かれたとみられていました。「テレーゼのために」と自筆譜に書かれていたのを、後世の人が「エリーゼのために」と読み間違えたのではないか、と考えられていたのです。ですが、その後自筆譜も失われ、エリーゼは誰か、というのが長年の謎であり、この曲をミステリアスなものにしていました。ですが、近年の研究では、べートーヴェンの知人の妹であるエリザベート・レッケルの可能性が高いことが明らかになっています。
・ピアノソナタ第14番「月光」
32曲残したピアノソナタの中でも、根強い人気がある曲です。「月光ソナタ」という通称は、ベートーヴェンの死後につけられました。第1楽章は、ゆったりとしたテンポで、終始しっとりとした悲しさを抱えています。明るく軽快な第2楽章を挟んで、感情がほとばしるような情熱的な最終楽章が始まります。孤独感、喜び、情熱など、ベートーヴェンらしさが各楽章にぎゅっと詰まったピアノソナタです。「悲愴ソナタ」「熱情ソナタ」と共に、ベートーヴェンの3大ピアノソナタと呼ばれます。
・ヴァイオリンソナタ第9番
10曲残されたヴァイオリンソナタの中でも、「スプリングソナタ」と呼ばれる第5番と共に
非常に人気がある曲です。名ヴァイオリニストのロドルフ・クロイツェルに捧げられましたが、クロイツェルがこのソナタを演奏することはありませんでした。
従来のバイオリンソナタは、ピアノがメインで、ヴァイオリンがそれに付随して演奏する形をとっていました。
ですが、この作品では、ヴァイオリンとピアノが対等な関係で演奏しています。堂々と風格の漂う第1楽章から始まり、ゆったりと歌う第2楽章が続き、軽快で華やかな第3楽章で締めくくられます。
ベートーヴェンの代表作のまとめ
いかがでしたでしょうか。
ベートーヴェンは交響曲の作曲家として認知されがちですが、ピアノソナタであったり器楽曲でも優れた作品を多く残しています。
現代では、ベートーヴェンのメロディをポップス用に編曲した音源なども多く使われているので、どこかしらで聞いたことがある旋律が登場するかもしれません。
これを機に、ベートーヴェンの音楽をより一層楽しんでみてくださいね。