同じ芸術のジャンルですが、絵画とクラシック音楽は関係がないものだと思いますか?
実は、絵画と密接に関係するクラシック音楽があるのです。
今回は、絵画と関係が深いクラシック音楽3曲をご紹介していきますね。
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絵画と関連付けられているクラシック音楽
・ドビュッシー作曲 「喜びの島」
アントワーヌ・ヴァトーが描いた「シテール島への巡礼」という絵画をもとに作曲されました。
人気の高いピアノ曲です。ヴァトーはフランスのロココ時代を代表する画家で、この絵画はルーブル美術館に保管されています。
愛し合う男女たちが、シテール島へ船出しようとしている、もしくはシテール島から戻って来た場面と言われています。
画面右端にヴィーナス像が描かれ、左端には沢山のキューピッドが飛んでいる、ほんわかと甘い雰囲気の絵画です。シテール島は、愛の女神ヴィーナスが誕生した場所であることから、女神と愛の聖地と呼ばれているのです。
ドビュッシーはこの絵画からインスピレーションを得て、恋の喜びに満ちたピアノ曲に仕上げました。ドビュッシーのピアノ作品の中でも難易度の高い華やかな曲で、エネルギッシュな曲です。
・ドビュッシー作曲 交響詩「海」
同じくドビュッシーの作品ですが、こちらは日本の浮世絵からインスピレーションを受けて作曲されました。
葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一枚、「神奈川沖浪裏」です。荒々しい大波の手前に小船が浮かび、その奥に富士山が顔を覗かせる、あの有名な浮世絵です。
この浮世絵はドビュッシーの部屋に飾られており、初版の「海」の楽譜の表紙にも、この浮世絵のデザインが使われました。
ドビュッシーは日本文化に興味を持っていたのです。
幻想的な雰囲気で始まり、大きな波のうねり、さざ波、シンと静まり返った水の表面など、刻々と変わる海の様子をオーケストラが鮮やかに描き出しています。
・アルカデルト作曲 「アヴェ・マリア」
続いて、絵画とクラシック音楽、両方が同じテーマについて創作した例をご紹介します。
「受胎告知」という言葉を聞いたことがありますか。キリスト教において、聖母マリアのもとに大天使ガブリエルが訪れ、「あなたは神の子を妊娠している」と告げるシーンのことです。レオナルド・ダ・ヴィンチなど、多くの画家がこの重大シーンを絵画に残しました。美術の授業で習った方もいると思います。
そしてクラシック音楽でも、この受胎告知をテーマに歌曲を作った作曲家が沢山います。
その曲こそ「アヴェ・マリア」なのです。特にカッチーニやグノー作が有名ですが、今回はアルカデルトのアヴェ・マリアを取り上げました。
イエスを妊娠したマリアを祝福する、ラテン語の歌です。
絵画とクラシック音楽の両方で、同じシーンを表した作品が多いのは、ヨーロッパでのキリスト教文化が根強い表れなのでしょう。
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クラシック音楽は美術や絵画にも密接に関わっている!
クラシック音楽には、美術にも深く関わっている作品があることをご紹介しました。
絵画と音楽、観て聴いて、両方を楽しんでみてくださいね。