「クラシック音楽の作曲家」と聞くと、モーツァルトやベートーヴェンなど、歴史上の偉人をイメージする方も多いかもしれませんが、21世紀の現代にも活躍している作曲家は数多く存在します。
そこで、ここでは現代に活躍するクラシック音楽の作曲家6選をご紹介します。
今の時代に作曲されたクラシック音楽を聴いてみたい! という方はぜひチェックしてみてください。
現代に活躍するクラシック音楽の作曲家6選
それではさっそく、現代に活躍するクラシック音楽の作曲家たちを次の3つのジャンルに分けてご紹介していきます。
オーケストラの分野で活躍する現代クラシック作曲家
吉松 隆(よしまつ たかし)
吉松 隆氏は、1953年生まれの日本の作曲家です。
慶應義塾大学工学部を中退した後、1980年にオーケストラのための「ドーリアン」が交響楽振興財団作曲賞に入選。
さらに1981年に「現代の音楽展’81」で「朱鷺によせる哀歌」が初演され、高い評価を受けました。
以来、歌劇・交響曲・管弦楽曲など数多くの作品を発表し続けています。
メロディや和音を否定する現代音楽の非音楽的傾向に異を唱える「現代音楽撲滅運動」「世紀末抒情主義」を提唱し、調性やメロディに重点をおいた曲調が特徴です。
代表作として「カムイチカプ交響曲(交響曲第1番)Op.40」「交響曲第2番『地球にて』Op.43」などが挙げられます。
カルロ・フォルリヴェジ
カルロ・フォルリヴェッジ氏は、1971年生まれのイタリアの作曲家です。
イタリア北部の街・ボローニャに生まれ、ボローニャ国立音楽院、ミラノ・G・ヴェルディ音楽院、ローマ・アカデミア・聖チェチェリアを卒業。
その後、IRCAM(音響音楽研究所)を経て、DIEM(デンマーク電子音響音楽研究所)にデンマーク政府特別研究員として務めた後、日本政府文部科学省給費生として東京音楽大学大学院にて作曲家の湯浅譲二氏に師事しました。
現在はパリに拠点を移し、精力的な活動を続けています。
ボローニャ芸術協会賞・武満徹作曲賞・ポーランド国際作曲賞など数々の受賞歴があり、オーケストラ作品としてはこれまでに「MUTTER MORTE」「THREE LYRICS KYOKA IZUMI」「LEUD-CELLO CONCERTO」の3作品を発表しています。
メロディや和音を否定する現代音楽の非音楽的傾向に異を唱える「現代音楽撲滅運動」「世紀末抒情主義」がある
室内楽の分野で活躍する現代クラシック作曲家
望月 京(もちづき みさと)
望月 京氏は、1969年生まれの日本の作曲家です。
東京藝術大学を卒業後に渡仏し、パリ国立高等音楽院作曲家第3課程(博士課程)を修了。
その後、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)の研究員としてさまざまな作曲家に師事しました。
日本音楽コンクール作曲部門で第一位を受賞した「5人の奏者のためのパサージュ・アン・ファイユ」は、審査員から「あまりにも高度の技術力で、他のファイナリストをまったく寄せ付けない」と評されるほどの支持を得たとされています。
代表作として、前述の「パサージュ・アン・ファイユ」の他、「私を含む全ての存在」「インテルメッツィ1,2」「バッソ・ソロ」「ラグーン」「プレ・エコー」「パ・サージュ」などが挙げられます。
マティアス・ピンチャー
マティアス・ピンチャー氏は、1971年生まれのドイツの作曲家です。
同世代のドイツ人作曲家の中で「最も成功している作曲家の一人」に数えられ、ベルリン・フィル・オーケストラなど一流オーケストラでもその楽曲が演奏されています。
ルール地方北部の街・マールに生まれたピンチャー氏は、20代前半からヘンツェ賞、モナコ・ピエール皇太子作曲賞など数々の賞を受賞。
特殊奏法の多用、音色パラメーターのコントロールなどの技術を駆使して生み出される繊細な楽曲が特徴です。
室内楽の代表作としては「Figura I」「Figura Ⅱ」があります。
室内楽の作曲家は、2人共数々の賞を受賞し期待される逸材
ピアノ分野で活躍する現代クラシック作曲家
湯山 昭
湯山 昭氏は、1932年生まれの日本の作曲家です。
東京藝術大学音楽学部在学中に「ヴァイオリン小奏鳴曲」でNHK・毎日新聞社共催の音楽コンクール(現・日本音楽コンクール)第一位次席を受賞。翌年には「弦楽四重奏曲」で同コンクール第二位入賞を果たしました。
卒業後は管弦楽・室内楽・ピアノ・合唱・童謡・校歌など幅広いジャンルで作品を発表し続けています。
ピアノ曲の代表作として「子供の国」「お菓子の世界」「音の星座」などの曲集があります。
中でも「お菓子の世界」は「シュー・クリーム」「バウムクーヘン」「ショートケーキ」など各曲にお菓子の名前が付けられているのが特徴的で、ジャズ・日本風・フランス風などさまざまな曲調の楽曲を楽しむことができます。
ソフィア・グバイドゥーリナ
ソフィア・グバイドゥーリナ氏は、1931年生まれのロシアの作曲家です。
旧ソビエト連邦のタタール自治共和国(現・ロシア連邦タタールスタン共和国)に生まれ、ガザン音楽ギムナジウムでピアノ・作曲を学んだ後、世界三大音楽院の一つに数えられるモスクワ音楽院に進学。
ヴァイオリン協奏曲「オッフェルトリウム」の国外での演奏をきっかけに国際的な名声を得ました。
ピアノ曲の代表作としては「ピアノのためのシャコンヌ」「ピアノ・ソナタ」「音楽おもちゃ箱」などが挙げられます。修学中から新しい音律を研究してきたグバイドゥーリナらしい、独特な響きを堪能できる曲集となっています。
現代のピアノ曲では、ジャズ風や新しい音律など、独特な響きを楽しむことができる
現代に活躍するクラシック音楽の作曲家6人のまとめ
クラシック音楽は決して過去のものではなく、私たちが生きるこの現代にも、魅力的な作曲家が多数活躍しています。
ぜひこの機会に、近現代を彩る楽曲の数々を聴いてみてください。