時代に翻弄され続けた作曲家ショスタコーヴィッチ
今回は、20世紀最大とも呼ばれるロシアの作曲家の一人、ショスタコーヴィッチの解説をしていきたいと思います。
よく、「ショスタコ」なんて略し方をされますね!
ショスタコービヴィチの中で一番有名な曲といえば、交響曲第5番「革命」第4楽章でしょうか? 冒頭部分だけであれば、現代でも使われることが多くあるため誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか
ロシアの社会情勢の中で生きた、苦悩の作曲家
ショスターコーヴィチとは、時代に翻弄され続けてしまった作曲家であり、それがゆえに苦悩に悩まされた作曲家です。
例えば、今の日本の作曲家が新作を発表した時、その音楽の内容を日本政府から批判されるなんてことはあるでしょうか?
当時のソ連では、自国のクラシック音楽に「社会主義リアリズム」を求めていました。しかし、それに反していたショスターコーヴィチの曲が、当然のことながら政府に批判されてしまいます。
そんな批判から、なんとか汚名を撤回しようと試みたショスターコーヴィチは自分の音楽性を少し抑え、政府の求めた音楽を書いていきます。
その努力が政府にも受けいれられはじめ、初めに受けた批判からは名誉挽回していきますが、社会的にも評価されてきた時になってまた政府から音楽的な批判を受けてしまいます。
波乱万丈の人生の末、自分の人生を達観した作品を残した?
このように汚名を着せられては挽回し、の繰り返しで波乱万丈の人生でしたが、晩年になり地位も安定してくると創作意欲にが溢れ、芸術性が高まった作品が多く産み出されます。
最晩年の作品では過去作からの引用が多くなりますが、自分の人生を振り返って達観しているのではないか。という視点が挙げられ非常に興味深くなっています。
音楽の内容としては重いものが多い
このような背景で生きた作曲家ですので、当然のことながら音楽の内容としては重いものが多いです。
ここでいう重いというのは、暗いという意味だけでなく、「重大な意味を持っている」という意味です。 政治が関与してしまうほどにクラシック音楽というのは当時崇められていた芸術分野ということもよくわかりますね。
このように社会状況に翻弄され続けてしまったショスターコーヴィチですが、お堅い、重い内容のクラシック音楽以外にもポピュラー音楽を愛したことでも知られています。
その中でも、ジャズチックな「ジャス組曲」はオーケストラ×ジャズという新鮮な響きを楽しむことができるので、聞いてみてください。