クラシック音楽の最高傑作を編成別に紹介!

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クラシック音楽ファンの間でたびたび議論になる話題があります。

それが「いったいどの曲が最高傑作なのか?」です。

結論を言うと、世界中の誰もが認めた最高傑作!というものはありません。

最高傑作と感じるものは、人それぞれであるからです。

しかし、多くの人が素晴らしいと評価をしている楽曲は確かに存在します

そこで今回は、それらの曲を最高傑作と仮定し、編成別に紹介したいと思います。

※なお、作曲家の偏りを避けるため、ひとりにつき一曲のみで厳選しています。

多くの人が評価している最高傑作の曲を、編成別に紹介します。

目次

交響曲の最高傑作

交響曲とは、一般的に「多楽章から構成される管弦楽(オーケストラ)曲」を指します。

ひとつの大きな曲がいくつかに分かれていて、それらのひとつひとつを「楽章」と呼び、基本的に三〜四楽章で構成されているのが特徴です。

シューベルト「交響曲第七番ロ短調D759《未完成》」

交響曲には「三大交響曲」と呼ばれている三つの楽曲があるのをご存じですか?

ベートーヴェンの「運命」、ドヴォルザークの「新世界」、そしてこのシューベルトの「未完成」です。

以前は「交響曲第八番」と数えられていましたが、現在では番号変更により「第七番」になりました。

そんなシューベルトの「交響曲第七番《未完成》」は、彼の死後に発見された曲で、その名のとおり未完の作品です。

本来、第四楽章まであるはずの交響曲ですが、「未完成」は第二楽章までしかありません

第三楽章は書きかけていたようですが、完成はしませんでした。

第二楽章までの完成度が高く続きが書けなかった、違う仕事が入ったなどいろいろな説があるようですが、真相は謎のままです。

第一楽章、第二楽章ともにさみしく物悲しい雰囲気の楽曲ですが、神秘的で切ないメロディーと、たまに差す陽光のような穏やかさが光る美しい作品です。

素晴らしい交響曲がたくさんある中で、完成していないのにもかかわらず三大交響曲のうちのひとつに数えられているのには、楽曲の美しさはもちろん、もう決して完成することはない「未完」であるということに、はかなさや魅力を感じてしまうのかもしれませんね。

世界三大交響曲は、ベートーヴェンの「運命」、ドヴォルザークの「新世界」、シューベルトの「未完成」

交響詩の最高傑作

交響詩は、作曲家リストが創始したと言われている形式です。

基本的に一楽章形式で切れ目なく演奏される楽曲が多く、物語や絵画、風景などが音楽で表現されています。

R.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」

この楽曲の冒頭部分を耳にしたことがある人は、とても多いのではないでしょうか。

映画「2001年宇宙の旅」に用いられている楽曲でもあります。

ドイツの哲学者ニーチェの代表的な作品をもとに、リヒャルト・シュトラウスが音楽にしたものです。

出だしのメロディーが有名すぎて最後まで聴いたことのない人もいると思いますが、この後に続く音楽は冒頭部分と打って変わり、優美かつ荘厳な雰囲気で進んでいくんですよ。

しかし、またドキドキハラハラするような曲調や不穏な雰囲気に変わったり、キラキラしたファンタジーな感じになったり……。

交響詩の名前にふさわしく、本当に物語を読み進めるように楽しく聴ける一曲です。

冒頭部分が有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」は、物語のような楽しい曲なので他の部分も聴いてみて

協奏曲の最高傑作

ピアノやヴァイオリンといったソロ演奏者と、オーケストラが協演する楽曲を協奏曲と言います。

主に三楽章で構成されており、曲中に「カデンツァ」と呼ばれるソロ演奏者の独奏が入ります

カデンツァの演奏中はオーケストラの演奏も止まり、ソロ演奏者の華やかな演奏が聴けるので、クラシックコンサートでも人気の高い演奏形態です。

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第二番ハ短調作品18」

ラフマニノフの楽曲の中でも、とても人気の高いロマンティックな作品です。

息をのむような甘美で美しい旋律と、オーケストラとピアノによる重厚な協演に、心奪われてしまう人は多いのではないでしょうか。

全部で三楽章までありますが、すべての楽章が美しく聴きやすい構造になっているので、クラシック音楽初心者でも飽きずに最後まで聴くことができますよ。

このピアノ協奏曲は、協奏曲というジャンルの中でも抜きんでた傑作だと言われています。

とても人気のある曲のため、さまざまなピアニストたちが演奏しているので、ぜひ聴き比べてみてください。

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第二番ハ短調」は、すべての楽章が美しく聴きやすい構造になっているのでクラシック音楽初心者にもおすすめ

室内楽曲の最高傑作

室内楽とは、少人数の器楽演奏者により演奏される音楽のことです。

楽器の組み合わせにはさまざまなものがありますが、2つのヴァイオリンとヴィオラ、チェロの組み合わせである「弦楽四重奏」がもっともポピュラーと言って良いでしょう。

大人数のオーケストラほど派手ではないけども、各楽器が出しているメロディーが分かりやすく、かつ美しい重奏を聴けるのが室内楽の魅力です。

ベートーヴェン「弦楽四重奏第十四番嬰ハ短調作品131」

弦楽四重奏の中でも最高傑作として名高いのが、ベートーヴェンの第十四番です。

前後の第十三番、第十五番も傑作の声が高い作品ですが、この第十四番を聴いたシューベルトは「この後でわれわれに何が書けるというのだ?」と語ったとのこと。

第十四番は全部で第七楽章からなる楽曲で、依頼のために作曲することが多かったベートーヴェンにとって自発的に作曲したうちの一曲だそうです。

全体を通してとても前衛的に仕上がっており、ベートーヴェンの名曲と言われている他の楽曲と比べると、少し異質で難解な印象を受けるかもしれません。

決して「わかりやすく聴きやすい」とは言えない楽曲ですが、いろいろなクラシック音楽に触れた後にぜひ聴いてみてほしい音楽です。

その時にシューベルトが語った言葉の理由が理解できるかもしれません。

ベートーヴェンの弦楽四重奏第十四番は、いろいろなクラシック音楽に触れた後にぜひ聴いてみてほしい一曲

独奏曲の最高傑作

単独の演奏者によって演奏される楽曲のことを「独奏曲」と言います。

さまざまな楽器の名曲がありますが、今回は楽器の王「ピアノ」と、楽器の女王「ヴァイオリン」の楽曲を紹介しますね。

【ピアノ曲】ショパン「《幻想ポロネーズ》変イ長調作品61」

作り上げた作品のほとんどがピアノ独奏曲だと言われている「ピアノの詩人」ショパン。

彼のポロネーズの中で知名度が高いのは「英雄ポロネーズ」「軍隊ポロネーズ」だと思いますが、作曲技法などを含めた観点から、この「幻想ポロネーズ」は、ショパンの技術を詰め込んだ傑作中の傑作と言われています。

流れるように音楽が進んでいきますが、自由な転調を繰り返し、どこかつかみどころがない印象も受ける作品です。

しかし、それこそがまさに「幻想(Fantaisie)」らしく、魅力に感じる部分であるのかもしれません。

切々とした夢幻的な旋律で、ピアノという楽器が奏でる音の美しさを最大限までに引き出している作品です。

ショパンの「幻想ポロネーズ」は、ピアノという楽器が奏でる音の美しさを最大限までに引き出している

【ヴァイオリン曲】バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001-1006」

演奏は、ヴァイオリンたった一本だけ。

しかし、オーケストラの演奏に負けないほどの壮大な世界観が広がる神々しい楽曲です。

この曲はソナタパルティータという音楽形式によって作られており、全部で大きく6つに分かれています。

通して聴くととても長い楽曲ですが、作品中のパルティータ第三番「第三曲ロンド形式によるガヴォット」はとても有名なので、どこかで耳にしたことがあるかもしれませんね。

このガヴォットは、後述するモーツァルトの楽曲「魔笛」とともに「ボイジャーのゴールデンレコード」と呼ばれるレコードに収められている一曲でもあります。

ゴールデンレコードとは、地球の生命や人々の文化を宇宙のかなたの生命体に伝えるため、ボイジャー探査機に搭載されたレコードのこと。

われわれ地球人の記憶・記録として選曲されたこの曲は、まさに最高傑作としてふさわしいものではないでしょうか?

バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」は独奏曲にもかかわらず、オーケストラに負けないほどの壮大な世界観が広がる神々しい楽曲

組曲の最高傑作

もともとは、いくつかの舞曲を組み合わせたオーケストラ曲のことです。

それぞれのテーマを持つ楽曲を組み合わせ、全体でひとつの作品となります。

時代の変化により舞曲だけでなく、さまざまな曲を自由に組み合わせて作られた作品も組曲と呼ぶようになりました。

チャイコフスキー「バレエ組曲《くるみ割り人形》」

チャイコフスキーの三大バレエ組曲の中で、もっとも人気があり高い評価を得ている作品がこの「くるみ割り人形」ではないでしょうか。

音楽を通して、華やかでキラキラとした色彩が伝わってくるような名作です。

退屈だと感じさせる部分があまりないので、クラシック音楽初心者の方や小さなお子さんでも大変聴きやすい作品と言えるでしょう。

多くの人に受け入れられているという意味でも、この楽曲は傑作と言って良いと思います。

チャイコフスキー「バレエ組曲《くるみ割り人形》」は退屈な部分がないので、お子様のクラシック曲デビューにもおすすめ

声楽曲の最高傑作

声楽曲とは、人の歌声をメインにした歌曲のことです。

独唱曲はもちろん、オペラや合唱曲などもこれに含まれます。

主に、女声のソプラノ、メゾソプラノ、アルト、男声のテノール、バリトン、バスという6つの音域に分けられています。

モーツァルト「歌劇《魔笛》K.620」

モーツァルトが遺した最後のオペラ「魔笛」

メルヘンの世界の物語で、全体的にモーツァルトらしい軽やかで明るい空気感が漂う作品です。

中でも、とても有名なのが夜の女王が歌い上げる「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」

「夜の女王のアリア」とも呼ばれています。

ソプラノの歌声による超絶技巧は、人の声でこんな表現ができるのか……!と、圧倒されること間違いなしでしょう。

今でも世界中で愛されているオペラの傑作です。

モーツァルトのオペラ「魔笛」は、ソプラノの歌声による超絶技巧に圧倒されること間違いなし

クラシック音楽の様々な編成での最高傑作のまとめ

いかがでしたか?

最高傑作と名高いものを集めてみましたが、もちろん異論はあると思います。

あなたが「最高傑作」と思えば、その楽曲こそが至高であって良いのです。

いろいろな楽曲を聴いて、自分が「最高!」と思える作品に出会えることが、クラシック音楽の楽しさのひとつでもありますよね。

そういった経験がまだの方には、ぜひ今回紹介した楽曲を聴いてみてください。

あなたの「最高傑作」に出会えるかも?しれませんよ!

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