クラシック音楽のプレリュードっていったい何?起源を解説

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クラシック音楽に興味を持って聴き始めたけど、プレリュード(前奏曲)ってどんな曲なの?

クラシック音楽の分類についてもっと知りたい!という方々のために、プレリュードの起源や序曲との違い、有名曲について解説していきます。

プレリュードの起源や序曲との違い、プレリュードの有名曲について解説していきます。

目次

プレリュードの起源は?

語源はラテン語で「あらかじめ」を意味する pre と「演奏」を意味する ludium が合わさってできた言葉です。

もともとはリュート組曲を演奏する前に、調弦確認や指慣らしを兼ねて即興で演奏された曲でした。

のちに自由な発想によって作られたピアノのための短い楽曲を前奏曲と呼ぶようになっていくのです。

プレリュードの起源は、リュート組曲の演奏前に調弦確認や指鳴らしを兼ねて行っていた即興演奏

【序曲】と【前奏曲】の違いは?

序曲とは、オペラやオラトリオなどの大曲に含まれるかたちで演奏されるもので、聴衆の注意を引くためや、オペラの劇全体のあらすじを予告するために作られたオーケストラ曲です。

それに対し、プレリュードは大曲の前に演奏される、いわば前座です。

主にピアノやオルガン単独の器楽曲が多く、即興曲とも似た意味合いになっています。

序曲は、劇のあらすじを予告するなど曲の中に含まれるが、プレリュードは曲の一部ではなくあくまでも前座的なものである

クラシック音楽のプレリュードで有名な曲は?

では、プレリュードについて時代順に追いながら解説していきましょう。

バッハ/平均率クラヴィーア曲集「前奏曲とフーガ」

プレリュードというとバッハの「平均律クラヴィーア曲集」をまず思い浮かべる人が多いかも知れません。

バッハは1オクターブの12音を主音とする長調・短調、つまり24の調性を網羅した曲集を書こうと考えました。

一つの調性につき「前奏曲」と「フーガ」がセットになっています。

バッハの平均律では、フーガを主としてその前におかれた曲としてプレリュードが存在しています。

曲の初めにおかれることで導入の役割をしているのです。

つまり後ろにフーガが続くことが前提としてあるという位置づけです。

平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1番 前奏曲とフーガ BWV 846

バッハの平均律のプレリュードは、フーガの前に置かれることで導入の役割をしている

ショパン/24の前奏曲集 作品28

ショパンは、プレリュードを主となる曲の前に演奏するのではなく、性格的小品の1つとしてとらえ、独立した1曲として作曲しました。

ショパン以降は、このように前奏曲が独立して書かれるようになります。

バッハを大変尊敬していたショパンは、「平均律」で全調の曲を作曲したバッハを模して、全調のプレリュードを作曲しました。

シューマンはショパンの前奏曲のことを「スケッチのようだ」と述べたそうです。

ショパンが感じたインスピレーションなどを即興的に表したような曲となっています。

ショパン 24のプレリュード第7番 Op.28

太田胃散のCM曲ですが、なんとイ長調(胃腸)なんです。うまく考えられていますね。

ショパンがバッハにならい作曲した全調のプレリュードは、前に主な曲を置くことなく独立したものだった

ドビュッシー/前奏曲集第1巻(12曲)、第2巻(12曲)、「牧神の午後への前奏曲」

24曲からなる前奏曲集ですが、バッハやショパンのプレリュードとは異なり、24の調に1曲ずつをあてたものではありません。

1巻は世界各国の舞曲をモチーフとした異国情緒あふれる小品、2巻はストラヴィンスキーの音楽の影響を受けた、独創的で革新的な曲集となっています。

「牧神の午後への前奏曲」はドビュッシーが敬まっていた詩人マラルメの『牧神の午後』(半獣神の午後)という詩を元に書かれたオーケストラ曲です。

音楽以外から生まれた前奏曲というわけです。

また、この曲に基づき、ロシア・バレエ団によりバレエ作品が作られています。まさに芸術のリレーといえますね。

ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲

ドビュッシーの24曲からなる前奏曲集は、調にあてはめたものではなかった

ラフマニノフ/前奏曲 嬰ハ短調 作品3の2「鐘」

ラフマニノフのピアノ曲の中でも最も有名な「幻想的小品集」作品3の第2曲が、前奏曲嬰ハ短調です。

モスクワのクレムリンの鐘の音が表現された重厚な1曲。

浅田真央さんがバンクーバー五輪で演じたことは記憶に残っていますね。

ラフマニノフはこのあとさらに「10の前奏曲」作品23、「13の前奏曲」作品32を作曲し、24の全調1曲ずつの前奏曲を完成させました。

これはショパンの「24の前奏曲」作品28を参考にしたものと考えられています。

主部・再現部と中間部との対照が明確な、三部形式によるものが多くなっています。

ラフマニノフ 前奏曲「鐘」 作品3-2 

ラフマニノフはショパンにならって、24の全調1曲ずつの前奏曲を完成させました。

ショスタコーヴィチ/24の前奏曲 作品34、24の前奏曲とフーガ 作品87

ショスタコーヴィチの24の前奏曲は、ショパンのプレリュードにならって作られた、自由な型式の小品です。

驚くべきことに、この24曲は1日に1曲のスピードで作曲されたといいます。

後年に作曲された作品87の前奏曲とフーガは、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」のスタイルを踏襲したもので、より厳格な形式となっています。

近現代ならではのぶつかるような和音や、ロマン的な感情を表現したような曲もあり、バッハの時代とはまた違った曲調を楽しむことができます。

ショスタコーヴィチ 24の前奏曲とフーガ 作品87

ショスタコーヴィチは、ショパンにならった自由な形式のプレリュードと、バッハにならった厳格な形式のプレリュード2種類を作曲した

まとめ

いかがでしたか?プレリュードの特徴を知ることで、クラシック音楽に関する知識がさらに広がったのではないでしょうか。

いろいろなプレリュードを聴いて、あなたのお気に入りを見つけてみてくださいね。

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